千鳥ヶ淵研究室

第448回◆新卒内定者の内定取消について◆

Q.人事担当者です。
この度、2026年4月入社予定の新卒内定者より、
卒業に必要単位が足りず、留年が確定したとの連絡がありました。

内定通知書・承諾書には「入社日の前日までに在籍学校を卒業できない場合内定を取り消すことがある」旨が明記されており、当該内容については双方で合意済みです。

上記の状況より、
・当該内定者を「内定取消」とすることが適法であるか
・必要な手続きや、企業側が配慮すべき点があるか
を教えていただきたいです。


A:採用内定は、始期付解約権留保付労働契約と解されており、
判例上も「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実」であり、
かつ「客観的に合理的で社会通念上相当として是認できる」場合、内定取消が認められています。
また、就業規則、内定通知書等に内定取り消しとなる事由を明示していることが必要となります。

本件では、以下の点により、形式的には取消事由に該当すると考えております。

・「卒業できない場合内定を取り消すことがある」との合意が内定承諾書に明記されていること
・今回、必要単位未取得により卒業見込みが失われていること

もっとも、内定取消は実質的には解雇に準じて厳格に判断されるため、
取消事由が社会通念上相当といえることが求められます。

新卒一括採用を前提とした場合、卒業見込みは通常、採用の前提条件に該当しますので、
内定取消自体が直ちに違法となる可能性は高くないと考えられています。

ただし、企業側が配慮すべき点としては、
実際に内定取り消しを行う前に、ご本人から事情を聴取し、
卒業延期の理由や今後の見込みを確認の上、今後の対応について検討することが望まれます。

そのうえで、取消を行うこととなりますが、
書面には、卒業見込みの喪失という事実と内々定承諾書の該当条項を明示したうえで、
通知されることを推奨いたします。

入社は4月とのことで、直前の取消はリスクが高まりますので、
連絡があった時点で速やかに事情の確認を行い、ご判断いただき、書面にて通知することが肝要です。

※本記事は、2026年3月に投稿しています。


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